心臓血管手術後の外来フォローアップの標準化について

ハートアライアンスでは、医療の質と安全、効率を向上するために手術や周術期管理の標準化に取り組んでおりますが、このたび心臓血管手術後の外来フォローアッププログラム標準化の取り組みを始めました。 心臓血管手術を終えた後、退院してすぐに100%元気な状態に戻るわけではありません。術後に体力や心肺機能が一時的に低下することはよく知られており、これらをもとに戻すためのリハビリや健康指導が重要となります。それと同時に、手術で治療した心臓の状態を維持したり、疾患の再発や新たな問題を早期発見するための定期的な検査やメンテナンスが必要となります。 これらは施設や医師によってばらつきがあり、フォローアップ頻度が不十分であったり、検査が過剰であることもしばしば見受けられます。ハートアライアンスでは、患者さんの状態や手術内容に合わせて必要十分な外来フォローアッププログラムを作り、実践していきます。 術後フォローアッププログラム標準化の要旨は以下です。 ①地域のかかりつけ医と連携して、定期的に専門医による診察と検査を行う ②標準化によって定期的検査の漏れや重複を防ぐ ③役割分担をすることで手術を実施した施設や外科医の負担を軽減する ④これらを実現することで術後患者さんの健康と安心を増進し、医療費軽減などで社会にも貢献する ハートアライアンスは、患者・医療者・病院・社会のすべてにやさしい診療システムを構築していきます。 東京心臓血管内科クリニック 柴山謙太郎 心臓専門クリニックでは大病院と同等の高度な検査と細やかなフォローアップが行えます (東京心臓血管内科クリニックでの臥位エルゴメーターを用いた運動負荷心エコーの様子)

2020-06-17T10:52:28+09:002020年06月16日|お知らせ|

コロナウイルス流行下でもオンラインで連携を

コロナウイルス感染拡大で直接会って話し合うことやスタッフが施設間を往来することが難しくなっていますが、このような中でもハートアライアンスのプロジェクトを進めるべく、3施設の臨床工学技士でオンラインミーティングを行いました。 私たち臨床工学技士は、心臓手術の際に心臓と肺の機能を代行する「人工心肺装置」を操作します。 臨床工学技士は、病院内における様々な医療機器を扱いますが、中でも人工心肺業務やコロナウイルスの治療でも話題になっているECMO(エクモ)という補助循環装置の業務に従事する者をPerfusionist(人工心肺技士)といいます。 ハートアライアンスのPerfusionist 部門として、Perfusionistアライアンスを結成しました。 ハートアライアンスのプロジェクトのひとつに手術の標準化があります。 施設内、施設間で手術を標準化することで、安全性・効率性を向上し、かつ施設間での連携を行いやすくするという取り組みです。 しかし、人工心肺装置のシステムや教育方法は各施設で異なり、まったく標準化されていないのが現状です。 人工心肺装置のシステムや教育方法についても3病院それぞれの最もよい部分を取り上げて標準化していきます。 今回のオンラインミーティングでは、コロナウイルス感染拡大における各施設のECMOなどの医療機器や医療資材の現状について情報共有をして、さらに今後のPerfusionistアライアンスの展望について議論しました。 Perfusionistは人材育成がどの施設でも課題であり、今後人工心肺マニュアルの共有(虎の門病院と東京ベイ・浦安市川医療センターではすでに共通のマニュアルを使用)していくことや、施設の枠を超えたトラブルシューティング研修による教育について話し合いました。 またハートアライアンス内で人工心肺に関連する多施設共同研究についても話し合いました。 私たちPerfusionistアライアンスでは、 1.人工心肺システムの標準化、2.人材育成(教育)、3.臨床研究で連携し、質の高い医療を提供していけるよう協力していきたいと思います。 虎の門病院 臨床工学部 長嶋耕平

2020-05-08T15:23:31+09:002020年04月28日|お知らせ|

心エコー図検査における標準化の取り組み

心エコー図検査は、常に動いている心臓という臓器を扱うため、エコー検査の中でも最も技術を要する検査です。ほぼ一定の質が担保されるCTやMRI検査とは異なり、心エコー図検査はその画質も計測値も担当する技師の能力に大きく依存します。そのため、施設間ではもちろん同じ施設内においても得られる検査結果が異なる、ということが起こってしまうのが心エコー図検査の大きな問題点です。臨床現場では心エコーレポートの結果によって患者さんの治療方針が左右されるため、常に正しい結果が求められています。 虎の門病院では心エコー図検査に携わる検査技師は約10名と多く、その業務も腹部や血管など他領域にまたがっており、心エコー専従の技師はごく数名です。 なおかつ、技師の経験年数も技術も様々なため、一人一人の撮像手順や計測法を統一することが課題でした。そこで、虎の門病院の心エコーチームでは、“心エコー図検査の標準化”に取り組んでいます。2019年5月より、(アメリカ心エコー図学会の)最新のガイドラインを遵守した院内での検査プロトコールを設け、撮像手順や計測を施設内で統一しました。さらに、エコー室に常駐する超音波指導医・専門医(常勤2名+非常勤1名)が、一検査ごとに技師と画像をチェックし、レポートの記載法を直接指導しています。 また、施設間での標準化にも取り組むべく、東京ベイ・浦安市川医療センターのエコーチームと合同で、「心エコー計測に関する勉強会」を開催しています。虎の門病院と東京ベイ・浦安市川医療センターはハートアライアンスとして循環器診療で深く連携しており、患者さんや医師が2病院間を行き来しています。その状況において、施設間でエコー画像の計測や解釈が異なっていることは、診療の質に影響を及ぼす問題であり、かつ医師や技師の手間も増やします。勉強会では、同一のエコー画像を用いて実際の計測や解釈を共有することで、心エコーレポートの真の標準化を目指しており、そこから医療の質向上や、心エコー医・技師の育成、働き方改革につなげていきます。 虎の門病院循環器センター内科 太田 光彦

2020-04-06T10:49:33+09:002020年02月01日|お知らせ|

手術室看護師の本格的連携がスタート

なぜかしら、看護師は他施設に見学に行くハードルがとても高く、他施設の看護を見て学ぶ機会が少ないのです。特に手術室は病棟と異なり、病院の中に1部署しかなく、自分たちが行っている看護を振り返る機会や他者から意見や助言をもらう機会が少ないという特徴があります。 虎の門病院、聖路加国際病院、東京ベイ・浦安市川医療センターの心臓血管外科医が医療の質向上や働き方改革、若手育成を目的に連携しようとはじまったのが「ハートアライアンス」 名称からして、外科医だけの連携ではなく、ハートチーム全体の連携を目指しています。そこで、3施設の手術室看護師でハートアライアンスのナース部門として立ち上げたのが「ナーシングアライアンス」です。 3施設の看護師が集まり、「よりよい看護の実現」のための取り組みを始めました。具体的には、3施設で、手術室看護の標準化、知識や技術の共有、さらには相互教育や共同研究などを行っていきます。 2019年11月に3施設の手術室看護師が約30名集まり、第1回ナーシングアライアンスを開催しました。各施設の特徴や手術室教育の現状を共有し、交流を深めました。ゲストとして、東京ベイ・浦安市川医療センターの診療看護師に自身の活動を話していただき、診療看護師がいない虎の門病院、聖路加国際病院の看護師からは多く質問が飛び出し、活発な議論が繰り広げられました。 今後は手術室以外の部署にもこの取り組みが広がって、ハートアライアンスの目指す、医療の質向上、働き方改革、若手育成を実現していきたいです。 虎の門病院 手術室看護師 前田 浩

2020-04-06T11:09:26+09:002019年12月01日|お知らせ|

第1回ハートアライアンス総会を開催

2019年10月都内で、ハートアライアンスの総会を開催しました。 虎の門病院、聖路加国際病院、東京ベイ・浦安市川医療センター3施設から心臓血管外科医、麻酔科医、手術室看護師、臨床工学技士が集まり、また3施設以外からもハートアライアンスのミッションに賛同する医師らが参加し、総勢50名を超える参加者がハートアライアンスの目的と今後の展望を確認しあう機会となりました。

2020-04-06T10:55:14+09:002019年11月01日|お知らせ|

病院マーケティングサミットJAPAN2019で阿部恒平氏がハートアライアンスの取り組みを発表

2019年8月24日に、東京都内で病院マーケティングサミットJAPAN2019が開催されました。「病院の価値を高めるチーム力~人材獲得、チーム創り、働き方改革」セッションにおいて、聖路加国際病院心臓血管外科の阿部恒平医師が、「心臓外科医の働き方改革」という演題で、ハートアライアンスにおける病院の垣根を越えた働き方改革の取り組みについてプレゼンテーションを行いました。3つの基幹施設が行う革新的で忖度のない連携が反響を呼びました。

2020-04-02T14:31:11+09:002019年09月01日|お知らせ|
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