8月29日にWebinarでハートアライアンスカンファレンス2020を開催しました。東京ベイ、虎ノ門、聖路加の手術室看護師、臨床工学技士、麻酔科医、外科医、内科医など多職種68名が参加し、「コロナに負けない心臓血管外科システム作り」というテーマで議論しました。

内容は3部構成で、第1部は各施設のコロナによる影響について紹介しました。どの施設もマスク、ガウンなどの医療材料がひっ迫し、少なからず影響はありましたが、施設によっては心臓外科入院や手術の制限を行わず、症例数を維持できていました。心臓外科は手術室とICUの固定費をカバーできる科であり、物品補充や手術室の優先使用などでサポートすることが有用であると病院管理の視点から意見がでました。

第2部はコロナ患者対応の経験と今後の対策と題して、手術室看護師、麻酔科医が中心となり議論が進みました。またパネリストとして感染症専門医をお招きして対策の妥当性や今後の方向性に関して意見を頂きました。どの施設も全例PCR検査を行っていませんが、術前スクリーニングを行い疑い症例にPCR検査を行う施設や、全症例を潜在的COVID患者として、N95マスクで対応する施設など各施設での対策が紹介されました。感染発生初期の手探りでの対応や全例PCRの是非についても話し合いました。また、いち早くSlackを用いて多施設間情報交換網を作成した手術室看護師からは、COVID関連情報の地域差が大きく、対策に差があったことが報告されました。危機管理に関するネットワーク作成が重要であると感じました。一方、TEAMSを用いた会議、カンファレンスなど、各施設でのオンライン化は進んでおり、今後3施設での合同カンファレンスを定期的に行う環境について検討することとしました。

第3部では、コロナ禍におけるアライアンスの役割について話し合いました。様々な想定されるクラスター発生状況で施設間の協力体制について検討しました。いずれの施設も感染症専門医を有して感染対策をしっかり行っているものの、現在行っている医師の施設間協働は、外勤先で感染するリスクがあることが挙げられました。またクラスターが発生施設から心臓外科手術後の患者が受け入れられるかについては、各施設での対策が異なっていることから、感染対策の連携強化が重要であることが分かりました。一方で、コロナ禍にオンライン勉強会とその録画動画を使ったe leaningで知識共有を継続的に行ってきたことで、効率的な新人教育ができていることが報告されました。さらに人工心肺の標準化やトラブル症例のオンライン共有を行う事で医療の質向上を目指すことが確認されました。

コロナのピンチをチャンスに変えることができるよう、我々は努力して参ります。