若手心臓外科医にとって、手術手技の習得は非常に重要な課題です。患者さんを危険に晒すことなく高い技術を習得するには、実際の手術以外で修練を積む、Off the Job Training(Off-JT)が効果的と言われています。最近では心臓血管外科学会でも、専門医を取得する上でOff-JTを行うことを必須の要件としています。より高い技術の習得を目指して、多くの若手心臓外科医が練習に励んでいることと思います。
Heart Allianceにおいても、患者さんの安全を担保しながら若手心臓外科医が高い技術を習得するため、Off-JTを重視しています。今年、虎の門病院と東京ベイ浦安市川医療センターにOff pump CABG(心拍動下冠動脈バイパス術)のトレーニング用シミュレーターである「BEAT」が導入され、以前からBEATを導入していた聖路加国際病院を含めた3病院でそれぞれ質の高いトレーニングを行う環境が整いました。
このたび、「Heart Alliance 手術トレーニング部」を立ち上げました。完全な自主トレーニングになると、日々の日常業務で忙殺される中でモチベーションの維持が難しい、自分の技術レベルが客観的に把握しづらいなどの問題点があります。複数施設の若手心臓外科医で各々のトレーニング状況を共有することで、モチベーションの維持につながるだけでなく、他施設の手技を学べるなど、非常に多くのメリットがあります。Heart Allianceトレーニング部では、「定期的なオンラインミーティング」、「トレーニング動画の共有」、「トレーニング記録の共有」を開始しました。これにより、より効率が良いトレーニングと、より質の高い技術を習得することを目指しています。若手心臓外科医の技術レベル向上が患者さんの安全につながると考え、Heart Alliance若手心臓外科医一同、日々のトレーニングに励んでおります。
東京ベイ・浦安市川医療センター心臓血管外科 吉野邦彦